ドン もっとん del 八王子 の つれづれブログ - 憲法、人権、法律をメインに -

憲法・法律・人権をメインに、そのときどきで、考えたことを書いています。 自分らしく生きたいという願いが実現しやすい社会を作るためには、憲法、人権、法律についての正しい理解が不可欠と思っています。 世間にある憲法・法律についての誤解から、個人が生きづらくなっている現状を変えたいと思っています。

死刑

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- 憲法、人権、法律をメインに -

憲法・法律・人権をメインに、そのときどきで、考えたことを書いています。
自分らしく生きたいという願いが実現しやすい社会を作るためには、憲法、人権、法律についての正しい理解が不可欠と思っています。
世間にある憲法・法律についての誤解から、個人が生きづらくなっている現状を変えたいと思っています。

世界の死刑存置、廃止、執行国など



国連加盟国                     193(バチカンなど一部の特殊な国を除いて、全世界の国家ほとんど)


死刑廃止国と存置国

法律上または事実上廃止国合計  140 (世界の国の7割強

うち、
全ての犯罪について廃止した国     102 (世界の国の5割強


憲法に死刑廃止の条文がある国:
カンボジア、ネパール、アンゴラ、アンドラ、フランス、イタリア、スウェーデン、メキシコ、コスタリカ、ニカラグア、パナマ、アルゼンチン(政治犯)、ボリビア、コロンビア、パラグアイ、スリナム、ウルグアイ、ベネズエラ

OECD加盟国で、死刑存置は、アメリカ合衆国と日本のみ

アメリカ合衆国(存置国)の内訳 ]
 
法律で存置:連邦政府、軍隊、31州

法律で廃止:ワシントンDC、19の州、自治領などは全部(プエルトリコ、グアムなど)
(うち違憲判決:カンザス)

10年以上執行が無い州:連邦、軍隊、7州
その内、事実上廃止
ニューハンプシャー
(70年以上執行していない)
軍隊(50年以上執行していない)
ノースカロライナ(法律で医師協力だが医師が拒否)


2015年に死刑を執行した国

世界全体: 25 (世界の国の1割強


地域別内訳

ヨーロッパ:0
 
オセアニア:0
 
アメリカ大陸(北米と中南米あわせて):1
 
アメリカ合衆国の6州(フロリダ、ジョージア、ミズーリ、オクラホマ、テキサス、バージニア)
 アメリカ合衆国の執行数は全部で28

アフリカ:5
(エジプト、チャド、スーダン、南スーダン、ソマリア)

アジア:19
(アフガニスタン、バングラデシュ、中国、インド、インドネシア、イラン、イラク、日本、ヨルダン、マレーシア、北朝鮮、オマーン、パキスタン、サウジアラビア、シンガポール、(台湾)、アラブ首長国連邦、ベトナム、イエメン)

その他:1
シリア(法的な死刑をアムネスティが未確認)


執行数が多い国

中国 以前から多いが2015年は特に多いらしい(正確な数が不明)。
少なく見て1000人以上、一説には4000人以上とも。(世界一)

イラン(977)、パキスタン(326)、サウジアラビア(158)も多い。


アメリカ合衆国の死刑制度の歴史

1847年以前に、死刑適用犯罪を減らす、死刑を廃止して復活など

1847年 ミシガン州が廃止
1853年 ウィスコンシン州で廃止
1887年 メイン州で廃止
1898年 
グアムで廃止
1899年 サモアで廃止
1911年 ミネソタ州で廃止
1917年 ヴァージン諸島で廃止
1929年 プエルトリコで廃止
1945年 北マリアナ諸島で廃止
1957年 アラスカ州ハワイ州で廃止
1964年 バーモント
で廃止
1965年 
アイオワウエストバージニアで廃止 
1972年 連邦最高裁が、合衆国憲法修正8条の残虐な刑罰で違憲という判決を出した。
・この判決を受けて、40州、死刑が無効、629人中断。
1973年 ノースダコタ州で廃止 
1976年 連邦最高裁が、死刑は合衆国憲法に違反しない、という判決を出した。
1981年 ワシントンDCが廃止
1984年 マサチューセッツ州、ロードアイランド州で廃止
1973~2001 DNA鑑定で96名が冤罪で釈放された
2004年 (連邦法で)冤罪者保護法、成立。(有罪判決確定後にDNA鑑定を受ける権利を保障)
2004年 ニューヨーク州で廃止
2007年 ニュージャージー州で廃止
2009年 ニューメキシコ州で廃止
2011年 イリノイ州で廃止
2012年 コネチカット州で廃止
2013年 メリーランド州で廃止
2015年 ネブラスカ州で廃止


残虐でないとして考案された薬殺刑(毒薬注射)も、
最近、残虐であるとして、問題になっている。

2015年
に、アメリカ合衆国で死刑判決が出た州:連邦裁判所と14州

日本の状況

確定者総数(死刑が確定して拘置所にいる人数) 126
確定者数(死刑が確定した数)          4
執行前死亡(確定後、執行とは別で死亡)      1
執行者数(死刑が執行された人数)        3

アジアの廃止国

(アジアは存置して執行してる国が多いので廃止国を書いた方が早い。アジア以外の地域は廃止が多い)

ロシア連邦(裁判所の決定で)、アルメニア、アゼルバイジャン、東ティモール、(香港)、(マカオ)、ネパール、ブルネイ(50年凍結)、カンボジア、ブータン、モンゴル、フィリピン、トルコ(復活検討中)

韓国(18年凍結)

ロシアトルコは、ヨーロッパとアジアにまたがっていますので、アジアの項目に書きました
香港マカオは国家ではありませんが、イギリスやポルトガル時代からの廃止を、中国返還後も維持しています。

世界で最初に死刑を廃止した国

(ギネスブックこの記録のページ )   ( ギネスブックトップページ(日本語) )
(トップページから「deah penalty」で検索をかけて4件HITのうちの1つ)
(日本語のページなのに、「死刑」で検索をかけると、なぜか、長寿の猫?????)

1798年 リヒテンシュタイン公国
(日本は寛政10年(江戸時代)。寛政の改革が終わったばかり)
(最後の執行は、1785年、
正式の廃止は、1987年)


 

今日まで続いている廃止、存置の状況について書きましたが、
日本でも、347年間、事実上、死刑を廃止していた(平安時代)。
ロシア
も、81年間、事実上死刑を廃止していた(一部の例外あり)(1744~1825)。その後も廃止と復活を繰り返す。現在は(裁判所の決定で)廃止

また、日本で、20年ほど前、3年4か月、死刑執行が無かった期間がある(1989~1993)




 

死刑廃止条約とは - 死刑廃止の多国間条約について -

目次
(目次の中のリンクは、ページ内のリンクです)

死刑廃止条約を含む人権条約の説明
 国連
 世界人権宣言
 国際人権規約(社会権規約・自由権規約)
 2つの選択議定書

死刑廃止国の数

(世界的・地域的)人権条約締約国の数・(死刑廃止関連の)選択議定書締約国の数

年表

死刑廃止についての条約の条文
 死刑廃止条約(自由権規約第2選択議定書)
 
 EU基本憲章 第2条
 欧州人権条約
  欧州人権条約 第2条
  欧州人権条約 第6議定書(一部省略)
  欧州人権条約 第13議定書
 米州人権条約 第4条 (英文と和訳:もっとん)
 米州人権条約 死刑廃止に関する選択議定書 (英文)
 米州人権条約 死刑廃止に関する選択議定書 (和訳:もっとん)

このページで引用している条約の条文は、米州人権条約をのぞいて、すべて、ミネソタ大学の人権図書館のWEBサイト(各国語あるうちの日本語のページ)から引用しました。

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死刑廃止論全般のまとめは、数日前の投稿に書きました
現在の世界の死刑廃止状況については、別に書きました。
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死刑廃止条約とは何か


正式名称

死刑廃止を目指す市民的及び政治的権利に関する国際規約第2選択議定書

Second Optional Protocol to the International Covenant on Civil and Political Rights,Aiming At the Abolition of the Death Penalty

国際規約とは?選択議定書とは?

中心的な役割をしているのは国連なので、まず、国連から


国際連合(国連)


国際連合は、人権保障と世界平和、国際問題での協力を目的に作られた、各国政府(現在193ヵ国)から作られる国際機関です。1945年にできました(国連憲章発効)。
国連憲章が、国連のルールになっています(国連憲章も条約です。)。


国連憲章

第1章 目的及び原則

第1条
 国際連合の目的は、次のとおりであ る。
1 国際の平和及び安全を維持すること。そのために、平和に対する脅威の防止及び除去と侵略行為その他の平和の破壊の鎮圧とのため有効な集団的措置をとること並びに平和を破壊するに至る虞のある国際的の紛争又は事態の調整または解決を平和的手段によって且つ正義及び国際法の原則に従って実現すること。
2 人民の同権 及び自決の原則の尊重に基礎をおく諸国間の友好関係を発展させること並びに世界平和を強化するために他の適当な措置をとること。
3 経済的、社会的、文化的または人道的性質を有する国際問題を解決することについて、並びに人種、性、言語または宗教による差別なくすべての者のために人権 及び基本的自由を尊重するように助長奨励することについて、国際協力を達成すること。
4 これらの共通の目的の達成に当たって諸国の行動を調和するための中心となること。


そして、人権を守るために、宣言を出しました。

世界人権宣言

です。
(Universal Declaration of Human Rights)
(1948年、国連総会決議として)

世界人権宣言は宣言なので、国連の意思表明の意味しか無かった。
(この宣言を基礎にした人権条約、各国の行動などから、現在は、慣習国際法として、法になった、という考えが有力です)

そこで、法的なもの=多国間条約を作りました。

二つの人権条約

です。

略称社会権規約  A規約。 
 正式名称:経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約
  社会権(生存権、労働基本権、教育、健康、文化、科学など、国が福祉のためにやるべき義務)について定めています。
略称自由権規約 B規約。 
 正式名称:市民的及び政治的権利に関する国際規約
  自由権(国に「邪魔すんな」という権利)と参政権などについて定めています。

憲法も、人権を定めて、人権に対応する国家の義務を定めたものですが、
人権条約は、同じ機能を、グローバルスタンダードとして提供するものです。
なんせ、人権は、「人間に共通のことであり、国によって違いがあってはならない」という理想が有るからです。(この人権思想からの法の下の平等を追求すると、国境を廃止という結論になります)

そもそも、憲法は、国家の義務を定めたものです。
法律も、(国民の権利義務関係を定めることができるものですが)、国家の義務を書くものです。
法治主義から当然です。
詳しくは、「法治国家」って、国家が、国民に法律を守らせてる国家、だと思ってる?を読んでください。
条約も国家の義務を書くことができるのは当然です。

両方とも日本批准しています。(日本は、この2つの条約に参加していて、2つの条約が国内法の効力を持っているということです。)

条約は、日本では、憲法より下、法律より上です(日本の通説)。
法令より上なので、条約違反の法令は効力が否定されることとなります。
(日本の裁判所でそこまで言ったのを知りませんが)

このB規約(自由権規約)に、

2つの選択議定書

が有ります。

選択議定書っていうのも、条約なんですが、本体の条約の他にオプションで用意するものです。
一番最初に書いた死刑廃止条約の正式名称の英語にも optional って書いてあるでしょう?
反対が予想される事柄について別にすることで、本体を批准してもらいやすくする、というメリットが有ります。

日本は、選択議定書を2つとも批准していません。

第一選択議定書は、個人が「本体の条約に定める人権を、国家に侵害された」とこの条約に基づいて設置された委員会に訴えることができる」と規定しています(個人通報制度)。
国連が主導して作った人権条約はその後たくさん有りますが(女子差別撤廃条約とか子どもの権利条約とか)、どれも個人通報制度を定めた選択議定書が有ります。
日本は、これらの人権条約の選択議定書を、全部、批准していません。
「日本の主権(統治権の意味)、なかんづく司法権を害する」っていう理屈です。
本来、人権を守るために国家はあるので、本末転倒の、日本国内でしか通用しない、チョーおバカなお話しです。
わかりやすくいえば、「司法権守って、人権守らず」
なんのための司法権かっ。国家かっ。

そして、第二選択議定書もあります。
これが、死刑廃止条約と呼ばれているものです全文(ページ内リンク)

なお、自由権規約(本体)にも死刑廃止に向けた条文(第6条)があります。

他の地域的人権条約では
EUは、EU基本権憲章死刑を廃止しています。(リスボン条約で憲章に法的効力あり)
欧州人権条約には死刑廃止の選択議定書が2つ(第6議定書と第13議定書)。
米州人権条約には死刑廃止の選択議定書があります。(2つ議定書があるうちの1つ)

死刑廃止国の数

国連加盟国         193

死刑廃止国(憲法、法律で)     102
事実上の廃止国を含めると    139

国連非加盟国 ごく少数。
(台湾、バチカン市国、パレスチナなど。)
うち、バチカンは死刑廃止。台湾は復活。

香港、マカオは、廃止
(それぞれ、中国に返還される前からの死刑廃止が、返還後も継続)


アメリカ大陸の死刑存廃

アメリカ大陸(北米・中南米合計) 35 
(アメリカ合衆国は1で計算)

うち、死刑存置国は、
中南米13ヵ国(キューバ、グアテマラ、ジャマイカ、ドミニカなど))
アメリカ合衆国の一部(連邦政府と軍隊と31州)

アメリカ合衆国の廃止は、ワシントンDC、19州、本土以外の自治領などは全部。

OECD(経済協力開発機構)加盟国  35の内訳

OECD加盟国 35
死刑廃止国  32 
死刑存置国  2  (アメリカ合衆国、日本)
事実上廃止国 1  (韓国)

OECD加盟国
は、
ヨーロッパの24ヵ国(うちEU加盟22)。日本と韓国。
オーストラリアとニュージーランド。
アメリカ合衆国、カナダ、メキシコ、チリ。
トルコ。イスラエル。 

(世界的・地域的)人権条約締約国の数
(死刑廃止関連の)選択議定書締約国の数

(個別的人権条約は死刑廃止関連のみ)

国連加盟国(=国連憲章締約国)  193 未加盟国:台湾、バチカンなど(特殊な背景のある国のみ)
  
自由権規約           168 未締約国:中国・キューバなど
自由権規約 選択議定書     115 
自由権規約 第2選択議定書      83 
      (死刑廃止条約)   
社会権規約                      164 未締約国:アメリカ、キューバ、南アフリカなど
社会権規約 選択議定書       21 未締約国:日本など

EU基本権憲章
EU加盟国(リスボン条約)          28  EU加盟国はすべて死刑廃止

欧州人権条約(欧州評議会)       47
欧州人権条約第6選択議定書(平時の死刑廃止)       46
欧州人権条約第13選択議定書(死刑全廃)          43

米州人権条約               24   米大陸の未締約国:カナダ、アメリカ合衆国、キューバ
米州人権条約死刑廃止に関する選択議定書            11

(世界的人権条約締約国の数は2016年10月現在)


年表

1945年 日本、連合国に降伏する(第二次世界大戦終了)→連合国占領
          国際連合、発足(国連憲章、発効) (加盟国51)
1947年 日本国憲法、施行
1948年 世界人権宣言
1949年 欧州評議会結成(ロンドン条約)
1952年 日本、主権回復(占領終了)(サンフランシスコ講和条約、発効)
1953年 欧州人権条約、発効
1956年 日本、国連加盟
1966年 自由権規約((第1)選択議定書を含む) と 社会権規約、国連総会で採択
1976年 社会権規約、(締約国で)発効
      自由権規約((第1)選択議定書を含む)、(締約国で)発効
1978年 日本、社会権規約 と 自由権規約 に署名
1979年 日本、社会権規約 と 自由権規約 批准
1985年 欧州人権条約 第6選択議定書(平時の死刑廃止)、発効
1989年 自由権規約 第2選択議定書(死刑廃止条約)、採択(日本、米、中国、イスラム諸国などが反対した)
1991年 自由権規約 第2選択議定書(死刑廃止条約)、(締約国で)発効
2002年 死刑廃止世界連盟、ローマで設立
     欧州人権条約 第13選択議定書(死刑全廃)、採択
2003年 死刑廃止世界連盟が、世界死刑廃止デー(10月10日)を制定
2007年 EUと欧州評議会が、欧州死刑廃止デー(10月10日)制定(翌年から)
2008年 社会権規約 選択議定書、採択
2013年 社会権規約 選択議定書、(締約国で)発効
2014年 国連総会で、死刑執行停止決議、採択(賛成国:117)



死刑廃止についての条約の条文


自由権規約

正式名称:市民的及び政治的権利に関する国際規約)

第六条
1 すべての人間は、生命に対する固有の権利を有する。この権利は、法律によって保護される。何人も、恣意的にその生命を奪われない。
2 死刑を廃止していない国においては、死刑は、犯罪が行われた時に効力を有しており、かつ、この規約の規定及び集団殺害犯罪の防止及び処罰に関する条約の規定に抵触しない法律により、最も重大な犯罪についてのみ科することができる。この刑罰は、権限のある裁判所が言い渡した確定判決によってのみ執行することができる。
3 生命の剥奪が集団殺害犯罪を構成する場合には、この条のいかなる想定も、この規約の締約国が集団殺害犯罪の防止及び処罰に関する条約の規定に基づいて負う義務を方法のいかんを問わず免れることを許すものではないと了解する。
4 死刑を言い渡されたいかなる者も、特赦又は減刑を求める権利を有する。死刑に対する大赦、特赦又は減刑はすべての場合に与えることができる。
5 死刑は、一八歳未満の者が行った犯罪について科してはならず、また、妊娠中の女子に対して執行してはならない。
6 この条のいかなる規定も、この規約の締約国により死刑の廃止を遅らせ又は妨げるために援用されてはならない。


死刑廃止条約

正式名称:死刑の廃止をめざす、市民的及び政治的権利に関する国際規約の第二選択議定書)
(自由権規約第二選択議定書)


この議定書の締約国は、 

 死刑の廃止が人間の尊厳の向上 (enhancement of human dignity) と人権の漸進 的発展 (progressive development; [仏] developpement progressif) に寄与す ることを信じ、

  一九四八年一二月一〇日に採択された世界人権宣言の第三条及び一九六六年一二月一六日に採択された「市民的及び政治的権利に関する国際規約」の第六条を想 起し、

  「市民的及び政治的権利に関する国際規約」の第六条が、死刑の廃止が望ましい ことを強く示唆する文言をもって死刑の廃止に言及していることに留意し、死刑の廃止のあ らゆる措置が生命に対する権利 (right to life; [仏] droit a la vie)の享受における前進 (progress; [仏] progres) と考えられるべきであることを確信し、

  このようにして死刑を廃止するという国際的な公約(commitment; [仏] engage- ment)を企図することを願って、次のとおり協定した。

第一条

1 何人も、この選択議定書の締約国の管轄内にある者は、死刑を執行されない。 

2 各締約国は、その管内において死刑を廃止するためのあらゆる必要な措置を とらなければならない。 

第二条

1 批准又は加入の際にされた留保であって、戦時中に犯された軍事的性格をも つ極めて重大な犯罪に対する有罪判決によって、戦争の際に死刑を適用するこ とを規定するものを除くほか、この選択議定書にはいかなる留保も許されない。

2 このような留保をする締約国は、批准又は加入の際に、戦時に適用される国 内法の関連規定を国際連合事務総長に通報 (communicate) するものとする。 

3 このような留保をした締約国は、その領域に適用される戦争状態の開始又は 終了について国際連合事務総長に通告 (notify) するものとする。 

第三条

 この選択議定書の締約国は、規約の第四〇条の規定に従って人権委員会 (Human Rights Committee) に提出する報告書に、この議定書を実施するため にとった措置に関する情報を含めなければならない。 

第四条

 規約の第四一条の規定による宣言 (declaration) をした規約締結国に関し ては、当該締約国が批准又は加入の際に別段の声明 (statement) をしたのでな い限り、一締結国から他の締約国がその義務を履行していない旨を主張してい るという通報について、人権委員会が受理しかつ審議する権限は、この議定書 の規定にも拡張されるものとする。 

第五条

 一九六六年一二月一六日に採択された「市民的及び政治的権利に関する国際 規約」についての(第一)選択議定書の締約国に関しては、当該締約国が批准 又は加入の際に別段の声明をしたのでない限り、その管轄権に服する個人から の通報 (communications) を人権委員会が受理しかつ審議する権限は、この議 定書の規定にも拡張されるものとする。 

第六条

1 この議定書の規定は、規約の追加規定として適用されるものとする。 

2 この議定書の第二条に定める留保の可能性を害することなく、この議定書の 第1条第1項において保障される権 利は、規約の第四条によるいかなる廃止措 置 (derogation; [仏] derogation) をも受けることがないものとする。 

第七条

1 この議定書は、規約に署名したすべての国による署名のために開放される。 

2 この議定書は、規約を批准し又はこれに加入したすべての国により批准され なければならない。批准書は、国際連合事務総長に寄託されるものとする。

3 この議定書は、規約を批准し又はこれに加入したすべての国による加入のた めに開放される。 

4 加入は、国際連合事務総長に加入書を寄託することによって行われる。 

5 国際連合事務総長は、この議定書に署名し又は加入したすべての国に対し、各批准書または加入書の寄託を通知する。 

第八条

1 この議定書は、一〇番目の批准書又は加入書が国際連合事務総長に寄託され た日の後3箇月で効力を生ずる。

2 一〇番目の批准書又は加入書が寄託された後に本議定書を批准し又はこれに 加入する国については、この議定書は、その国の批准書又は加入書が寄託され た日の後三箇月で効力を生ずる。 

第九条

 この議定書の規定は、いかなる制限又は例外もなしに、連邦国家のすべての 地域について適用する。 

第一〇条

 国際連合事務総長は、規約の第四八条第一項に規定するすべての国に、次の 事項について通知 (inform) するものとする。 

(a) この議定書の第二条の規定による留保、通報 (communications) 及び通告 (notifications) 

(b) この議定書の第四条又は第五条の規定によってされた声明 (statements) 

(c) この議定書の第七条の規定による署名、批准及び加入 

(d) この議定書の第八条の規定によるこの議定書の効力発生の日 

第一一条

1 この議定書は、アラビア後、中国語、英語、フランス語、ロシア語及びスペ イン語を等しく正文とし、国際連合に寄託される。 

2 国際連合事務総長は、この議定書の認証謄本を規約の第四八条に規定するす べての国に送付する。

出典  http://www.asahi-net.or.jp/‾ef4j-tkgi/dp/sopiccpr.html  団藤重光・試訳



EU基本権憲章 第2条


第2条 生命に対する権利
(1)何人も、生命に対する権利を有する。
(2)何人も、死刑の宣告または執行をされないものとする。


ヨーロッパ人権条約 第2条

(正式名称:人権 及び基本的自由の保護のための条約についての第六議定書) 
(Convention for the Protection of Human Rights and Fundamental Freedoms)

第二条(生命に対する権利)

1 すべての者の生命に対する権利は、法律によって保護される、何人も、故意にその生命を奪われない。ただし、法律で死刑を定める犯罪について有罪の判決の後に裁判所の刑の言い渡しを執行する場合は、この限りでない。
2 生命の略奪は、それが次の目的のために絶対に必要な、力の行使の結果であるときは、本条に違反して行われたものとみなされない。
(a) 不法な暴力から人を守るため
(b) 合法的な逮捕を行い又は合法的に抑留した者の逃亡を防ぐため
(c) 暴力又は反乱を鎮圧するために合法的にとって行為のため


第6議定書

第一条(死刑の廃止)

 死刑は、廃止される。何人も、死刑を宣告され又は執行されない。

第二条(戦時等における死刑)

 国は、戦時又は急迫した戦争の脅威があるときになされる行為につき法律で死刑の規定を設けることができる。死刑は、法律に定められた場合において、かつ、法律の規定に基づいてのみ適用される。国は、当該の法律の規定を欧州審議会に通知する。

第三条(離脱の禁止)

 この議定書の規定からのいかなる離脱も、条約の第一五条に基づいて行ってはならない。

第四条(留保の禁止)

 この議定書の規定については、いかなる留保も、条約の第五七条に基づいて付すことができない。

(5条~9条略)


第13議定書
(日本語訳はミネソタ大学のサイトに無い。英語などはある)

第6議定書の第2条(戦時等における死刑)を削除して、つめて番号ふり。
つまり、第6議定書にあった戦時の特例をなくして、死刑を完全に廃止する。


米州人権条約

(American Convention on Human Rights)

(原文:英語、和訳:もっとん)

Article 4. Right to Life
1. Every person has the right to have his life respected. This right shall be protected by law and, in general, from the moment of conception. No one shall be arbitrarily deprived of his life.
2. In countries that have not abolished the death penalty, it may be imposed only for the most serious crimes and pursuant to a final judgment rendered by a competent court and in accordance with a law establishing such punishment, enacted prior to the commission of the crime. The application of such punishment shall not be extended to crimes to which it does not presently apply.
3. The death penalty shall not be reestablished in states that have abolished it.
4. In no case shall capital punishment be inflicted for political offenses or related common crimes.
5. Capital punishment shall not be imposed upon persons who, at the time the crime was committed, were under 18 years of age or over 70 years of age; nor shall it be applied to pregnant women.
6. Every person condemned to death shall have the right to apply for amnesty, pardon, or commutation of sentence, which may be granted in all cases. Capital punishment shall not be imposed while such a petition is pending decision by the competent authority.


第4条 (生命に対する権利)

1.すべての人々には、生命を尊重される権利がある。この権利は、受胎されたときから区別なく、法により守られる。何人も、その生命を、恣意的に奪われることはない。
2.死刑を廃止していない国家においては、死刑は、最も重大な犯罪についてのみ、犯罪の実行以前に制定された法で定める死刑に従って、管轄裁判所により下された終局判決をすることで、科すことを妨げない。死刑適用は、現在適用のない犯罪に拡大しない。
3.死刑を廃止した国家は、死刑制度を復活しない。
4.政治犯罪または関連の通常犯罪については、あらゆる場合に、極刑を科さない。
5.極刑は、18歳未満の者、70歳より上の者に科さない。妊娠中の女性にも、極刑を科さない。
6.死刑を宣告されたすべての個人は、恩赦、特赦、減刑が適用される権利を持つ。このことは、あらゆる場合に認められてよい。このような申請が、所管官庁によって未決定の間は、極刑は、科されない。


死刑廃止に関する議定書

(PROTOCOL TO THE AMERICAN CONVENTION ON HUMAN RIGHTS TO ABOLISH THE DEATH PENALTY)

原文:米州機構のWEBページ

(原文:英文、和訳:もっとん)

PREAMBLE

THE STATES PARTIES TO THIS PROTOCOL,

CONSIDERING:

That Article 4 of the American Convention on Human Rights recognizes the right to life and restricts the application of the death penalty;

That everyone has the inalienable right to respect for his life, a right that cannot be suspended for any reason;

That the tendency among the American States is to be in favor of abolition of the death penalty;

That application of the death penalty has irrevocable consequences, forecloses the correction of judicial error, and precludes any possibility of changing or rehabilitating those convicted;

That the abolition of the death penalty helps to ensure more effective protection of the right to life;

That an international agreement must be arrived at that will entail a progressive development of the American Convention on Human Rights, and

That States Parties to the American Convention on Human Rights have expressed their intention to adopt an international agreement with a view to consolidating the practice of not applying the death penalty in the Americas,

HAVE AGREED TO SIGN THE FOLLOWING PROTOCOL TO THE AMERICAN CONVENTION ON HUMAN RIGHTS TO ABOLISH THE DEATH PENALTY

Article 1
The States Parties to this Protocol shall not apply the death penalty in their territory to any person subject to their jurisdiction.

Article 2
1. No reservations may be made to this Protocol. However, at the time of ratification or accession, the States Parties to this instrument may declare that they reserve the right to apply the death penalty in wartime in accordance with international law, for extremely serious crimes of a military nature.
2. The State Party making this reservation shall, upon ratification or accession, inform the Secretary General of the Organization of American States of the pertinent provisions of its national legislation applicable in wartime, as referred to in the preceding paragraph.
3. Said State Party shall notify the Secretary General of the Organization of American States of the beginning or end of any state of war in effect in its territory.

Article 3
1. This Protocol shall be open for signature and ratification or accession by any State Party to the American Convention on Human Rights.
2. Ratification of this Protocol or accession thereto shall be made through the deposit of an instrument of ratification or accession with the General Secretariat of the Organization of American States.

Article 4
This Protocol shall enter into force among the States that ratify or accede to it when they deposit their respective instruments of ratification or accession with the General Secretariat of the Organization of American States.



死刑廃止に関する議定書


(和訳:もっとん)

前文

この議定書の締約国は次のように考える。

米州人権条約第4条は、生命に対する権利と、死刑の適用を制限することを認める。
すべての人には、その生命を尊重される奪われない権利があり、いかなる理由によっても停止(保留)されることない。
死刑廃止に賛成することが、米州にある国家における傾向である。
死刑適用は、誤判を改めることを不可能にする、有罪判決を覆すか変更するいかなる可能性もなくす、取返しのつかない重大性がある。
生命に対する権利のより効果的な擁護を確かにするために、死刑廃止は、有用である。
国際的な合意は、米州人権条約の進歩的発展を伴うことに到達しなければならない。 
そして、米州人権条約締約国は 米州において死刑を適用しないことの実践が確固たるものとなる見通しをもって、国際的な合意を採択する意思を表明し、

死刑廃止に関する米州人権条約の選択議定書に、合意して署名した。

第1条 議定書締約国は、領内で、管轄が及ぶあらゆる個人に対して、死刑を適用しない。
第2条 
1.この議定書には、いかなる留保条件をつけることも許されない。しかしながら、批准と加入において、締約国は、軍事の極端に重大な犯罪について、戦時に、国際法に従って死刑を適用する権限を留保する宣言をすることを妨げない。
2.この留保をする締約国は、批准または加入において、前項において言及しているように、戦時に適用できる国家の立法の関係条項を、米州機構の事務総長に、報告するものとする。
3.前記の締約国は、領内における事実上の戦争の、始めまたは終わり、あらゆる状態を、米州機構の事務総長に通知するものとする。 

第3条
1.この議定書は、米州人権条約締約国により、署名、批准、加入ができる状態にする。
2.この議定書のさらなる批准または加入は、米州機構の事務総局で批准または加入の書面を付託することで、完成する。

第4条 この議定書は、米州事務総局に、おのおのの批准または加入の書面が寄託されるとき、その批准または加入する国家において、効力を生じる。


なお、このページで引用している条約の文章は、米州人権条約をのぞいて、すべて、ミネソタ大学の人権図書館のWEBサイト(各国語あるうちの日本語のページ)から引用しました。

その他、アムネスティインターナショナル、アムネスティインターナショナル日本支部、ヒューライツ大阪、などの、WEBサイトを参考にさせていただきました。
厚く、御礼申し上げます (o*。_。)oペコッ


数字などのデータは、何度も見直しました。
条文の和訳は、他の条約の和訳文なども参考にしました。(難しかったです( ノД`)シクシク…)

誤訳、不自然など、ありましたら、お知らせいただきますと幸いです。





死刑制度と現場での犯人射殺 - 全然違うものを比べてはいけない

死刑廃止論全般のまとめは、数日前の投稿に書きました。

死刑の話をすると、必ずと言って良いほど、(廃止論者の側からは出なくて)存置論者の方から出てくる話がいくつかあります。

それは
「死刑を廃止してても、現場で射殺しちゃえば同じだし、むしろひどくない?」
ということです。

誤解が多く含まれています

(だから、廃止論者は言いません)。



そこで、まず、誤解を解きましょう。


国によっても多少の違いはありますが、警察官が武器を使うのは、犯人の逃走を防止したり、人質などを守ったりするためです。
やたらめったら発砲して良いとなると、法治国家ではなくなります。

発砲した結果、たまたま、標的が死んでしまった(発砲そのものの是非はともかく)場合も考慮されるべきことではありますが、
発砲したら、ほぼ死ぬだろうと思って発砲する場合、正当防衛の要件が必要であろうと思います。

そもそも、正当防衛って、何でしょうか?


1.まず、正当防衛にならない例

AさんがBさんをナイフで刺して逃げた。
Bさんはケガをしながらも、逃げるAさんを追いかけて、自分のナイフでAさんを刺した。

これは絶対に正当防衛にならないケースです。


2.次に、正当防衛になるケース

Aさんが、ナイフを構えて、Bさんに近いところで、Bさんを刺そうと、上半身を本気で刺そうとして、よけるBさんに対して、何度もナイフを突き出してきた。
Bさんは、持ってるナイフで、Aさんを刺した。
Aさんは首に傷を負って、出血多量などで死にました。

何が違うか、と言いますと、
1は、AさんがBさんを刺した後で、Aさんはもう攻撃をしてこない(逃げた)のに、BさんはAさんを刺してます。

これは、AさんのBさんに対する傷害罪、と、BさんのAさんに対する傷害罪が、2つ成立するということです。(動機はたぶん仕返しでしょう)

2は、Bさんとしては、Aさんに殺されるか重傷を負わされる危機が迫っている。それを防ぐために、BさんはAさんを攻撃した。
これは、
AさんのBさんに対する暴行罪または殺人未遂と(Bさんがケガをすれば傷害罪)
BさんのAさんに対する(殺人の構成要件に該当する行為だけれども)正当防衛で違法性が無いから、無罪。
(銃刀法違反とかは、この場合、考えてません)


ということになります。

日本(他の国でも現代の文明国)では、復讐とか決闘は禁止されています。

正当防衛は、なぜ、正当防衛になる(違法性が無くなる)か、といいますと、
緊急事態だということと、
不正な(違法な)攻撃に対して、
守るべき利益(生命など)と防衛の結果がバランスがとれている(緊急なのである程度で良い)。

以上は、日本の場合で、国によって違いまして、外国は、もうちょっと緩い所が有ったりします。

刑法

(正当防衛)
第三十六条  急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。
2  防衛の程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。


正当防衛についての誤解が解けました。

他に、緊急事態のときに、違法性が無くなる(通説)ものとして、緊急避難が有ります。

正当防衛と同じ所、違う所。
だれかに、急な危険が迫っているのは同じ。
でも、悪いやつが攻撃してくるわけではない
(だれかの適法な行為だったり、野生動物や自然(土砂崩れとか)だったり)
避難した(文字通り、危険(難)を避けた)結果、その被害を受けるのは、別の(悪くない)人

どういう場合かと言いますと、
たとえば、
・野良犬が追いかけてきて生命の危険を感じた人が、通りかかった家の玄関ドアのかぎが開いていたので、勝手に入った。(緊急避難でなければ、住居侵入罪)
・従業員がオフィスの火災から逃げるために、窓ガラスをたたき割った。(緊急避難でなければ、器物損壊罪)

刑法
(緊急避難)
第三十七条  自己又は他人の生命、身体、自由又は財産に対する現在の危難を避けるため、やむを得ずにした行為は、これによって生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合に限り、罰しない。ただし、その程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。
2  前項の規定は、業務上特別の義務がある者には、適用しない。



本論

次に、

死刑と現場射殺を比較

してみましょう。

   死刑               現場射殺
1.刑罰            刑罰でない(人質などの人命を守るためのもの)
2.裁判をやっている      裁判をやっていない。
3.現行犯逮捕でない場合がある 現行犯である(少なくとも現行犯の認識がある)

もし、仮に刑罰の代わりとして、現場射殺が行われているのであれば、それは絶対にいけません。
裁判をやらずに刑罰を執行するのは絶対にいけません。
しかし、逆にいえば、刑罰でないからこそ、刑罰の執行が正当化される論理(適正な手続き=裁判をした)とは違った論理で行われているのです。(そうでなければいけません)

日本の警察は、やたらと発砲しないようですね。

死刑廃止国のヨーロッパなどと比べる人も多いようですが、アメリカほどではないにしても、日本より銃犯罪が多い(銃を持ってる)ので、ある程度、発砲をするようになってしまうようです。
しかし、それでも、発砲が適切だったかは、後で警察官などが責任を問われることはあるようです。

けっして、死刑を廃止しているから、代わりに、現場で凶悪犯を射殺してしまおう、ということではないです。
仮に、そういう警察官などが個別にいたとしても、正当化される法システムにはなっていません。

仮に外国が悪いことをやっていたとしても、日本の存廃論に理論的な影響は有りません。
「日本も死刑を廃止したら、現場射殺が増えると」いう変なことを言う人がいますが、上に書きましたように、治安状況、銃犯罪の量などの違い、警察官の人たちをどこまで信頼できるのか、ということ考えずに言っちゃいけません。


最近、テロを防止する観点で、国内外で、共謀して実行に移す前に積極的に取り締まったり、問答無用の対応が正当化されるような空気になっています。大きな問題です。
もちろんテロは、前もって防がなければいけませんが。
人権を保障した捜査をしつつ、かつ、テロを防ぐ、これをどうすれば良いか、正直、もっとんもわかりません。


日本の警察官が、武器を使うときの条件について

警察官職務執行法

(武器の使用)
第七条  警察官は、犯人の逮捕若しくは逃走の防止、自己若しくは他人に対する防護又は公務執行に対する抵抗の抑止のため必要であると認める相当な理由のある場合においては、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度において、武器を使用することができる。但し、刑法 (明治四十年法律第四十五号)第三十六条 (正当防衛)若しくは同法第三十七条 (緊急避難)に該当する場合又は左の各号の一に該当する場合を除いては、人に危害を与えてはならない。
一  死刑又は無期若しくは長期三年以上の懲役若しくは禁こにあたる兇悪な罪を現に犯し、若しくは既に犯したと疑うに足りる充分な理由のある者がその者に対する警察官の職務の執行に対して抵抗し、若しくは逃亡しようとするとき又は第三者がその者を逃がそうとして警察官に抵抗するとき、これを防ぎ、又は逮捕するために他に手段がないと警察官において信ずるに足りる相当な理由のある場合。
二  逮捕状により逮捕する際又は勾引状若しくは勾留状を執行する際その本人がその者に対する警察官の職務の執行に対して抵抗し、若しくは逃亡しようとするとき又は第三者がその者を逃がそうとして警察官に抵抗するとき、これを防ぎ、又は逮捕するために他に手段がないと警察官において信ずるに足りる相当な理由のある場合。

死刑廃止論全般のまとめは先日の投稿に書きました。








 

被害者の人権と死刑制度の関係 - 死刑廃止論者は被害者の人権を考えないトンデモなのか

加害者の人権
被疑者の人権
被告人の人権

について、考えたい、と思います。

これらについて、誤解があるのかな、と思います。 

・この4つの立場の人の意味、
・人権、という言葉の意味、
・民法と刑法の違い(目的と機能)


まず、言葉の意味を一つずつ。

人権」は、「あらゆる人に平等に認められた権利の総称(すべての呼び名(つまり人権はたくさんある))」です。
国家と国民・人民の関係で、国家権力が人権を侵害するのを防ぐ目的で、憲法が作られました。
人権には、国家がおせっかいをしない義務を定めたもの(自由権など)と、国家がする義務を定めたもの(社会権など)があります。


国民と国民の間でも、一応人権侵害の問題は起こりますが、
1.民事で、契約が無効(民法90条)
2.民事で、損害賠償請求など(民法415条、709条)
3.刑事で、犯罪となる。

となります。

1と2の民事は、加害者と被害者の問題。
3の     刑事は、国家 と加害者の問題。(国家が加害者を罰するという問題)



被疑者」とは、「検察官に起訴される前の、捜査機関(警察など)に疑われている人」
のことをいいます。
(容疑者は法律用語ではありません)
被告人」とは、「検察官に起訴された、刑事訴訟の当事者」です。

無罪の推定」といいまして、有罪判決が確定するまでは、被疑者・被告人は無罪の人(善良な(とは限りませんが)一市民)として扱われなくてはいけません。
そして、「有罪だということを検察側が証明する」ということをしないと、無罪にしなければなりません。

だって、これを読んでるあなた、たまたま運悪く警察に疑われて、犯人じゃないのに犯人みたいに扱われて、そして、自分の潔白を証明しろ、って言われて、有罪になったら、いやでしょう?

ただ、そうはいっても、有罪だっていう絶対の確信を最初から持てるんであれば、裁判なんかいらないし、
反対に、有罪の確信が無いんだったら、強制捜査をまったくしちゃいけない、って言われちゃったら、犯人に逃げられたり証拠隠滅されたり、証拠を探し当てられなかったりします。

ですから、被疑者・被告人の人権と、真実を発見する目的、と、天秤にかけて、バランスをとっているのが、刑事訴訟法なのです。日本の憲法にもかなり詳しい条文が有ります。



さて、

被害者の人権と、死刑の話

に戻ります。

まず、確認しておきたいのは「被害者の人権と加害者の人権とを比べてバランスを考えるということ」意味が不明、ということです。
後で詳しくいいます。

そして、さらに、被疑者・被告人の人権と比べるのは、意味が無いどころか、絶対におかしい。
被疑者・被告人は、あくまでも、無罪の人として扱われる存在ですから。
法律家でもこういう言葉遣いをする人がいますが、頭がおかしい、と言って良いレベルでしょう。

では、あらためて、

被害者の人権と加害者の人権

の話に戻ります。

刑罰を科すことで、被害者は救われません。

できることで考えられるのは、
・民事の賠償をきちんと受けられるようにすること(死刑執行したら不可能になることです)
・国家が補償すること(制度はあります。改善の余地もあります。)
・精神的なケアなどをすること

もともと、凶悪犯罪に限らず、犯罪に限らず、労働問題も交通事故も、責任を負うべき者が責任を負って損害賠償をしたりなど、被害者との崩れたバランスを戻す(戻そうとする)のは、民法の担当です。
刑法は、それとは別に、犯罪を防ぐために、国家が違法行為をした者を処罰することを担当。

民法と刑法では、目的も機能も全然違います。



救われるということを強調する人が言うことは、
結局、
1.報復感情を満たすこと。
2.殺したら、殺せ。(絶対的応報刑)
両方とも、現在の刑法学理論からは、刑法、刑罰の役割として認めていません。
(結果として、そういう機能が果たされているという見方はあるでしょう。)
ですから、この2点を言う人は、まず、刑法学の基本から論証しなければいけません。


死刑廃止論に対する存置論者=被害者の利益を代弁、という構図を、作る連中は、
・本当に、心底から被害者や被害者遺族のことを考えず
・問題を被害者のことにすりかえて、存置論を正当化しようとしている

裏返して言えば、
存置論を主張するために、被害者や被害者遺族を利用している。


そもそも
死刑廃止をした国の、国会議員の多く(廃止に賛成)は、被害者の人権を考えていないひどい人たちなの?
国連は、主導して、人権条約としての多国間条約、死刑廃止条約を作りましたが(日本は批准していない)、被害者の人権を考えない、トンデモな大馬鹿たれの悪人どもなの?
去年、死刑廃止すべきと言い始めた、ローマ法王(フランシスコ)も、大馬鹿たれなの?

よろしければ、先日書きました、「死刑廃止論」という投稿で、死刑廃止論の理論的なことを最小限(でも長いけど)に、わかりやすくまとめましたので、お読みください。
死刑廃止論全般について先日書いた投稿



 

死刑廃止論

死刑の話です。


 
必要以上に詳しく書くと、キリが無いし、論点がぼやける。

要点を過不足無く書こうと思います。(結局、長いけどm(__)m )

今回は、廃止すべき理由として、理論的なことだけ書きます。

1.死刑制度の運用の問題点(判決まで、と、執行)と、
  死刑廃止に向けての課題。
2.死刑廃止をめぐる政治状況(日本国内、と、世界規模)、政策的な話。
別の投稿で書きます。


最初にぜひ確認したいこと


あらゆる人間の生命は大切なものです。
死刑は、「死刑」という名前の、「国家により正当化された殺人」です。
死刑制度の正当性を証明ができなければ、制度を存続維持すべきではない。
死刑制度の廃止をいう人に対して、「死刑制度が効果がある(抑止力など)ことが、無い、ということを証明せよ」というのは間違いである。


死刑廃止をすべき本質的理由
(国家権力の限界)


国家は、人間の生命を奪う権限を持たない。
「国家がどういう刑罰を科して良いか」という問題は、広く人権(人身の自由など)の問題ですが、
死刑は、単に、人権を「制限する」という通常の人権問題ではなく、
生命を奪う=”人権享有主体性そのものを奪う”ということです。

人権を享有する=人権がある。人権享有主体=人権がある存在=人間
人身の自由(身体の自由)=正当な理由なしに身体的活動を拘束されないこと。自由権の基礎。最近話題になった奴隷的拘束と苦役の禁止も人身の自由。

個人の尊厳原理社会契約説を根拠としています。

社会契約説=国家の正当性の契機を(市民の)契約にあるとする。
(つまり、みんなで「国家を作りましょう」「そうしましょう」って言って作ったものだから、国家は国家として認められる。)
もちろんフィクションです。実際はそんなことはありません。
でも、大事なのは、
・契約で作ったんだから、国家はこうあるべきだ、ということが言えるということ。
・市民の契約で有り得ないようなことをする国家は、国家として認めない、と言えるということ。

つまり、「他者の利益を害しないなど一定の正当な目的のために、国家権力から止むを得ない(人権の)制限を受けることがあるとしても、人権があることの根拠=「人間として生きていること」まで、否定する権限は無い」という論理です。

まあ、「社会契約論」では一番有名なルソーが、「契約の際に死刑の存在についても同意しているはずだ」という論理で存置論です。
もともと社会契約自体フィクションなので、水掛け論になるかもしれませんが。

この論点は、人間とは何か、人間の生命とは何か、国家とは何か、という理解、認識、信条、信仰などと深く関わるものと思います。


刑法理論(犯罪者に刑罰を科す理由)


いろいろとややこしい理論があるのです。

まず、詳しい説明をする前にもっとんの立場

犯罪者の改善可能性は有る、と信じます。(困難さの程度の違いこそあるでしょうが)
改善可能性が有るから、あきらめず、国家は改善の努力(教育)をする。
死刑は反対。
(同じ理由から、(仮出所の可能性の無い)無期懲役、無期禁錮(終身刑)には、反対です。)

この改善可能性については、教育学、心理学によるところが大きくて、今の人智では解明ができていない分野です。
ここでも、やはり、認識、信条、信仰が関わります。

改善可能性が無い、という証明が無い限り、死刑は廃止すべきです。


刑法学は、大きく分けて二つの立場があります。
 
1.「悪い人」が、犯罪を起こすことによって、「悪い人」だとわかる。
.ある人が、犯罪を起こすことによって、「犯罪を起こした事実」がわかる。

1の立場は、悪い人を何とかする必要があるので、「未遂犯か既遂犯か」「結果が重大かそうでないか」などに関係無く、悪い人を教育しなければならない、ということになります。(教育刑論)
2の立場は、犯罪を犯した人に、犯した犯罪に見合った刑罰を科すということになります。(応報刑論)

は(教育刑論)一見魅力的ですが、
科学的にその人の悪さ加減を見極めて、適切な教育を施すのは難しいですし、
権力の恣意的な運用が心配されます。
(例えば、懲役刑の期間を決めないとか。やっていることは大したことではないが、改善の必要がある性分だから教育しちゃおうとか)。
つまり、自由が不当に制限される結果になります。

日本は、一応、2の応報刑論ですが、
犯罪とまったく同じものを刑罰として科す、タリオの法理(目には目を、歯には歯を)=絶対的応報刑論ではなくて、1の立場なども取り入れた形になっています(相対的応報刑論)
絶対的応報刑論は、1の問題にある権力による恣意的な刑罰の適用を排除できる点、とても良いです(カントもこれを理由として強調して、絶対的応報刑論をとり、その当然の帰結として、死刑を肯定している)。
しかし、いつも、極悪の人間だけが重いとされる犯罪を起こすとは限らず、軽い刑罰や執行猶予をつける運用ができなくなります。
日本の刑法(という名の法律)は、かなり弾力的に運用ができるようになっています。(立法のとき、1の立場の影響が強かった)

教育刑の理論は、少年法に多少取り入れられていますが、少年院だけでなく、少年刑務所、通常の刑務所も、世界的に日本は遅れています。
再犯を防ぐ意味から(本人のためにも社会のためにも)重要な課題です。

絶対的応報刑論を採用すれば、死刑は肯定の結論になります。
相対的応報刑論からは、「相対的」なので、一概に答えが出ません。

応報を重視すれば、肯定に傾くでしょう。
日本は、殺人すべてを死刑にしているのではないので、相対的応報刑ですが、”2人以上”など条件を絞って(判例)、死刑判決を出しているので、その中で、ある程度、応報を重視しているといえるでしょう。(最近、裁判員裁判などで例外が有る)
また、死刑の判決文(判決理由)で、「矯正教育による改善更生の可能性がない」という表現が使われるのが普通ですが、これは、ぼくらが普段使う言葉に言い直すと、「どうしようもなく悪い奴で、悪い奴でなくすることはムリ。あきらめちゃおう。悪い奴だから抹殺するしかない」ということになるでしょう。
これも応報を重視しているように見えます。

なお、世間で言われる話の中に、「仏教徒は「因果応報」を信じるから、死刑肯定のはずである」というものがある。
仏教でいうところの「因果」と「因果応報」は自然摂理のものです。人間がそれを代行することを認めるという論理には必ずしもならない。
旧約聖書やコーランにタリオの法理(目には目を歯には歯を)が書いてあって、法令に採用された例もありますので、ユダヤ教、キリスト教、イスラムにも、同様のことが言えます。(ここ数十年で死刑廃止したヨーロッパの国々は、キリスト教国が多い。もちろんその他も有ります)

「月に代わってお仕置き」をするセーラームーンとかだめです。
(もっとんは、セーラームーンについては全然知らないという自覚は有りますので、セーラームーンの話に特化した批判は勘弁願います。)


被害者感情について


存置論をとろうが廃止論をとろうが、死刑など刑罰を論ずるより前に、最初に、犯罪被害にあった人と家族などの精神的・物理的両面のケアを考えるべきです。

そのために、法律や国家ができることは、
・犯罪被害者の国家による補償を厚くして、手続きを簡単にして、速やかな支払いが行われること。
・民事裁判や和解(加害者に対する損害賠償請求など)のバックアップ、請求権が認められた(判決が出た)後で、その履行(支払)が確実に行われるようにすること。
・精神科医や臨床心理カウンセラーによる精神的なケアを、積極的に行う制度を作る。
などです。

これらのことを行わず、考えずに、まず最初に死刑を語るのは、本当にすべき被害者のケアを、自らが忘れて、他人にも忘れさせることになります。


死刑存置論者は、被害者感情と被害者遺族の感情を、根拠とする場合があります。
たしかに、殺された本人、また、殺された人の家族・友人などの心情は、いくら想像してもしたりない。
おそらくは相当壮絶な、「壮絶」という言葉で言い尽くせない、感情でしょう。


そのことを前提として、あえて言う。
被害者感情または被害者の遺族などの感情を、死刑を肯定する根拠とすることは、「被害者保護」を偽装した、「報復」に過ぎない。
個人で、復讐をすれば、殺人罪です。現在は、江戸時代に武士に認められていたような合法的な仇討ちは無い。
国家がやると正当性があるように言うのは、ごまかしでしかない。

そして、加害者が死んだところで、被害者が生き返るわけでなし、被害者の遺族や友人の心が癒されるか。
精神医療や心理学の観点から、専門家の意見を聞きたい。

もう一つ

死刑存置論の弁護士は、被害者遺族すべてが死刑に賛成かのように言うが、それは間違いです。

なお、この問題については、別にも書きました。
被害者の人権と死刑制度の関係 - 死刑廃止論者は被害者の人権を考えないトンデモなのか


刑法の目的


刑法の目的は、法益を守ることです。
法益とは、「生命、身体、財産その他の権利などなど(「権利」に限らず、法によって守られるべき社会生活上の利益」をいいます。)
法益侵害を違法といいます。

この法益の中でも防ぐ必要の高いと考えられるものを、刑罰という強力な手段で守るのが、刑法の役割です。
刑法学で「保護法益」といった場合、最初から「刑法で守るべき利益」ということです。
犯罪を防ぐことを「予防」といいます。
予防には2つあります。
犯罪を犯した人の再犯を防ぐのを「特別予防」といいます。
犯罪を犯した人を処罰することを手段として、その他の人の将来の犯罪を防ぐことを、「一般予防」といいます。

特別予防の観点からは、通常、教育・更生ということが重視されます。
しかし、改善可能性を否定すれば、終身刑や、抹殺=死刑になるでしょう。

一般予防の観点からは、抑止力(将来の犯罪を防ぐ力)が問題となります。
今まで、多くの統計学などのプロが「死刑が凶悪犯罪の抑止力になること」の証明に挑戦しましたが、いまだに証明ができていません。

しかし、仮に、抑止力が証明されたとしても、もっとんは死刑に反対します。
 
上にあげた二つの理由(国家は人権享有主体性を奪う権限が無い、改善可能性を否定しない)に加えて、
もう一つ、凶悪犯罪を行った者であっても、他の凶悪犯(人の命を奪うことなど)を防ぐために、生命を手段としてはならない。
 
一般予防の目的で死刑を手段にするのは、どんなに正義ぶっても、所詮、内実は、見せしめです。
そして、報復抹殺という本音が隠れているのです。



死刑制度一般にある不都合


誤判の場合に、取り返しがつかない。 

冤罪(濡れ衣)のときのことです。
冤罪は「えんざい」
濡れ衣は「ぬれぎぬ」と読みます 

この点、「他の刑罰と同じではないか?」という人がいます。

・お金を取り上げた(罰金刑)。
・懲役刑で、20年閉じこめて働かせた(懲役刑)。
この二つと、殺しちゃった(死刑)。
同じですか?

刑罰自体に、量的な程度問題の差ではなくて、質的な差(性質の違い)があるのです。
だから、この場合、「取り返しがつかない」という言葉の持つ意味、性質が違ってきます。

死刑判決が確定して長期間閉じ込められて、冤罪が疑われるから再審開始を決定して釈放された、袴田さん。(まだ再審やろうとしませんが)

追記:この後、なんと、再審開始決定が取り消されました。

人生取り返しがつかないひどいことになってはいるんですが、死刑が執行されていたら、全然違う意味で取り返しがつかない。

刑法学者の団藤重光は、最高裁の判事をつとめたときの経験から、死刑の場合の誤判が決定的にまずいことを認識して、死刑廃止論者となります。
裁判官をつとめた刑事裁判で、裁判長が死刑判決を読み上げた後、退廷するとき、傍聴席から、「人殺しっ」との声が聞こえたそうです。

・過去の死刑事件の誤判の事例を実際に見ることができる。
・将来、どんなに法令を整えて、どんなに審理を尽くしても、誤判が出る可能性が有ることは否定できない。

この事実を認識していて、(報復は論外ですが)、抑止力を根拠として、死刑を存続させるべき、という論者は、結局のところ、「将来の犯罪を防止するためには、無実の者を殺すこともしょうがない。処刑された人は、たまたま偶然アンラッキーな人」というような認識なのでしょう。
「人殺し」以外の何物でもない。正義の人ぶって、自分は手を染めずに。


憲法36条が禁じる「残虐な刑罰」にあたり憲法違反


憲法
第三十六条  公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる。

戦後すぐ、死刑の事件で、この問題について言った最高裁判決があります。
最高裁は、死刑一般は「残虐な刑罰」にあたらない、といいました。
(将来、国民感情の変化などを理由に、違憲になる可能性も言っています)

しかし、死刑を合憲とすることは、憲法36条の通常の解釈とは矛盾が有ります。

まず、刑罰の種類の説明。
刑罰は、有罪になった人から、何を奪うかで、分類されます。
・生命刑(生命を奪う)=死刑一般
・身体刑(身体を害する)=手などを切り落とす、むち打ち、百叩きなど(今の日本には無い)
・自由刑(自由を奪う)=懲役、禁錮
・財産刑(財産を奪う)=罰金など


この中で、日本の確立された不動の解釈で、36条の「残虐な刑罰」とされているものがあります。
身体刑です。(日本の現行法にはありません)

上のような分類でいくと、それぞれは全く違うもののように見えます。

しかし、「死ぬ結果にいたる”身体刑”」が死刑なのです。

火炙り、釜茹ではもちろん、銃殺、ギロチン、絞首刑(日本で執行されている方法)は、やはり、身体刑です。
ですから、むち打ちが憲法違反なら、あらゆる死刑が、憲法違反になるのです。
(なお、「薬殺刑が残虐な刑罰と言えるか」は、いちおう議論がある)


「憲法13条と31条が、死刑を肯定している」と言えるか


ところで、憲法13条と31条を根拠に、
1.憲法は死刑を許容している。(上の最高裁はこの立場を判決で言っている)
または、
2.憲法は死刑を積極的に肯定している。
という人がいます。

憲法
第十三条  すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

第三十一条  何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。


「13条も、31条も、生命刑=死刑の存在を想定している」のは間違い有りません。

しかし、許容しているとまでは言えません。

13条と31条の趣旨は、現在有る刑罰などの制度を前提として、適正手続きの保障だからです。

これを言う人は、13条、31条を文理解釈・反対解釈します。
文理解釈とは「条文の言葉を文字通りにとらえ(生命、身体、財産を例示とはとらえずに)解釈すること」
これを裏面から行ったものが反対解釈。
つまり「適正手続きを保障すれば、死刑を科して良い」と読みます。

憲法に限らず、法解釈学では、条文によって、さまざまな解釈の方法がとられ、条文の趣旨から、文理解釈・反対解釈が正しい解釈の場合も、当然有ります。

しかし、13条、31条を文理解釈して、死刑を積極的に肯定するのは、明らかに間違った読み方、解釈です。

むしろ、「個人の尊厳原理」を宣言している13条は、最初にも言いましたが、死刑廃止の根拠になるとさえ言えます。


世論と死刑

政府のアンケート調査によると、死刑廃止派は少数派のようです。

政府のアンケートの仕方は、判断に必要な情報を与えず、そして誘導的ですが、ここでは論じません。(別の投稿で書きます)

問題なのは、死刑の存廃を論じるのは、人権問題だという認識が欠けていることです。

主権者である国民が国会を通じて、民主主義で決めた、「法律」でさえも、ひっくり返すことができるのが、人権思想であり、自由主義であり、立憲主義なのです。
立憲民主制は、憲法に制限された民主主義なのです。
多数派から、少数派を守るために、憲法はあるのです。

「世論を無視しろ」というのはいけません。主権者国民を尊重しなければいけません。もちろんです。
しかし、人権問題の根拠に世論を使って正当化するのは、「人権」という言葉をまったく知らない人のやることです。

ヨーロッパの国々で廃止しようとしたとき、世論は反対がかなり多かったことが参考になると思います。
また、死刑廃止国で何年かして、制度復活の世論調査をすると、
「復活しないで良い」がかつての廃止派より増えていたり、 
「復活した方が良い」という人が比較的多くても、政府が復活させなかったり。

別に書いたものも参考にしてください。
死刑廃止条約とは - 死刑廃止の多国間条約について -

世界の潮流、外国の思想。そして日本がどこの国に近いか。

今回、このブログでは初めて、コメント欄を設置しました。
忌憚の無いご意見、お願いいたします。
罵詈雑言もご自由にどうぞ。

これも書いたので、読んでくださいませ(o*。_。)oペコッ
死刑制度と現場での犯人射殺 - 全然違うものを比べてはいけない



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憲法・法律・人権をメインに、そのときどきで、考えたことを書いています。
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世間にある憲法・法律についての誤解から、個人が生きづらくなっている現状を変えたいと思っています。
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東京都八王子市 出身

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創価大学法学部法律学科卒業
大学ゼミ:刑法(内藤謙先生)

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