2015年12月16日、最高裁判所で夫婦同姓制度について、合憲の判決が出ました。


そもそも、夫婦同姓制度って何?


常識?本当?


民法第四編 親族、第二章 婚姻、第二節 婚姻の効力に条文が有ります。
 

第七百五十条  夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。 


夫婦は、夫か妻かどちらかの苗字を、結婚するときに決めて、同じ苗字を名乗ることになっています。


という意味です。

まず、確認したいんですが、必ず、奥さんがだんなさんに合わせるわけではないのです。

どっちがどっちでも良いのです。

だんなさんが合わせるっていう場合は、婿養子でしょう?っていうのも違います。

だんなさんが奥さんの親と養子縁組をするかどうかといっしょにしなくて良いのです。


実際は、多くの人が勘違いしていることでもわかりますが、女性が男性に合わせることが圧倒的に多くなっています。(2014年の統計で96%)


「称する」っていう書き方ですが、名乗らなくちゃだめ、っていう強制です。


最高裁は、

同じ姓を称することで家族の一員であることを実感できる。とか

通称が認められていることが多くなっているから、不都合が無いじゃんか


とか言いますが、

・苗字だけで、家族の絆が生まれて実感するんですか?
・強制的に、夫婦同姓なのは、日本くらいしかないんですけど、外国の家庭は崩壊してるんですか?


・公的文書(役所に提出する文書とか証明書とか(免許証とか))に使えない。

通称戸籍の苗字が違う


とかいう、ややこしいことが起こる。


また、

・通称が、ある程度広まっているとはいっても、認められていない会社も多い。


それから、

・ほとんど、女性の側が姓を変えることになって不利益を被っているから、事実上、女性差別になっている。


結婚して、突然名前が変わっちゃうと、友達とか、お客さんとかに、だれだっけ?って言われちゃいます。

名刺を見たら、だれだっけ?同窓会名簿を見たら、だれだっけ?親友のだれだれちゃんの名前が無い。名簿も旧姓を載せていますけど、わかりづらい。

Facebookは旧姓も入力することができて、検索はできますけど、やっぱり、だれだっけ?は避けられない。

学者とかデザイナーとかだって、論文の著作者の名前や、作者の名前を今まで通り使いたい。


・子供との関係で不都合も有ります。

子供がいる女性と結婚した都議会議員がブログで書いていましたが、結局、女性が、 議員の苗字に変更することになり、いっしょに、子供の苗字も議員の苗字になりました。持ち物に書いてある名前などを全部変更したそうです。


仕事などで、ある程度、通称を使える人でも、戸籍の名前は違うから、

・公共の契約、その他、ものすごくたくさんの場面で、いちいち名前を変更する手続きをしなくてはいけない。

・結婚をきっかけに、結婚前のデータが継続使用されない危険がある。



婚姻の自由の制限


結局、強制的に苗字を変えられるのがいやで、婚姻届を出さない、っていう人がいっぱいいます。

かわいそうじゃんか、そんな不自由させて。

だから、憲法違反だって、最高裁の少数意見は言っています。

第二十四条  婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。

    配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。

つまり、両性の合意のみで、あとは自由(国家に余計な制限をされることが無い)っていう

「婚姻の自由」を不当に制限している、っていうことです。



不平等


それに、この24条にも書いている、両性の本質的平等に反する、と少数意見にあります。

2014年の統計で、女性が苗字を変更する場合が、96%だそうです。

法の下の平等を定める14条にも違反するということになります。



女子差別撤廃条約


第16条

締約国は,婚姻及び家族関係に係るすべての事項について女子に対する差別を撤廃するためのすべての適当な措置をとるものとし,特に,男女の平等を基礎として次のことを確保する。
(a) 婚姻をする同一の権利
(b) 自由に配偶者を選択し及び自由かつ完全な合意のみにより婚姻をする同一の権利
(c) 婚姻中及び婚姻の解消の際の同一の権利及び責任
(d)~(h)は省略


この条約は、日本も批准しています。

この16条1項の(b)違反していると考えられます。

今回の訴訟でも、原告側は、このことも主張していました。


条約は、憲法より下で、法律より上です。

ですから、条約違反の法律はだめなのです。


この条約の2条は、この条約に違反する法規を改廃する義務を締結国(つまり日本)に課しています。



憲法第13条


憲法13条の人格権としての「氏の変更を強制されない自由」を不当に制限していて、違反ということにもなります。


世界ではどうか


そもそも、夫婦同姓を強制する国は、今、日本くらいしか見当たらないのです。

夫婦別姓の国が多いです。

日本のように同姓だったけれども別姓にした国も多いです。

元の苗字と結婚してからの苗字と両方使える国も多いです。

選択的夫婦別姓(同姓か別姓か選べる)の国も多く有ります。


国民感情とか世論とか


日本では、明治に戸籍を作ったときに、夫婦同姓制度を始めただけで、日本の伝統とは言えません。

最高裁の多数意見は、選択的夫婦別姓制度を国会がやるんだったら、良いんじゃないか?と言っています。


新聞なども、世論はどうかについて報道します。


たしかに、家族のことをどう決めるか、は、日本の歴史や、国民感情、その他が大事です。

大事でないとは言いません。


しかし、人権問題については、世論が99%反対でも、関係無いのです。


立憲民主制とは、民主主義で基本的に政治を行うが、多数の人に少数の人がいじめられるの(多数決の横暴)を防ぐために、民主主義で決めたことさえ制限する、憲法というものを作って、国(立法、行政、司法)を縛る、そういう体制のことを言うのですから。

これをわかっていない人は、憲法について、ちょびっとも、わかっていない、と断言して差し支えありません。




最高裁の豆知識


最高裁判所の裁判官は、全員で15人います。

普通の裁判では、小法廷といって、5人ずつ、3グループでやっています。

特別なときだけ、大法廷と言って、15人全員でやります。


特別なときは、

・判決理由の中で、憲法判断をするとき

・判例変更をするとき

の2つの場合です。

裁判所法10条ただし書きです。


裁判所法
 

第十条

(大法廷及び小法廷の審判) 事件を大法廷又は小法廷のいずれで取り扱うかについては、最高裁判所の定めるところによる。但し、左の場合においては、小法廷では裁判をすることができない。

一 当事者の主張に基いて、法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを判断するとき。(意見が前に大法廷でした、その法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するとの裁判と同じであるときを除く。)

二 前号の場合を除いて、法律、命令、規則又は処分が憲法に適合しないと認めるとき。

三 憲法その他の法令の解釈適用について、意見が前に最高裁判所のした裁判に反するとき。


10条本文にも最高裁判所が決める場合が書いてあります。
最高裁判所規則にも、少し書いてあります。