違憲判決

再婚禁止期間について、最高裁判所違憲判決が出ましたね。2015年12月16日

制度そのものではなく、「期間が長過ぎる」っていうものですが(;^_^A


夫婦同姓制度は合憲だっていう判決も出ましたね。

15人の裁判官のうち、5人は反対意見(違憲)ですが

(違憲の意見です。ややこしいですね。

夫婦同姓制度については、別に書きますね。 


再婚禁止期間って何?

日本のニュースとか新聞は基本的なことを言わなくて、さっぱりわからないことで世界では有名です。

国民みんなが六法を持ち歩いているとでも思っているんでしょうか?

今はスマホで読めますが。


まず、民法には、下のような条文がある、ということを、確認したいと思います。


民法の第四編 親族、第二章 婚姻、第一節 婚姻の成立、第一款 婚姻の要件にある条文です。

(再婚禁止期間)

第七百三十三条  女は、前婚の解消又は取消しの日から六箇月を経過した後でなければ、再婚をすることができない。

 女が前婚の解消又は取消しの前から懐胎していた場合には、その出産の日から、前項の規定を適用しない。

条文が何を言っているか、簡単に説明しますと、

「女性は、離婚して(死別も含む)から、6ヶ月間は、結婚しちゃだめ」ってことです。

つまり、市役所とかで、婚姻届を受け付けないってことです。


上の説明で、条文の中の「取消し」って言葉の説明は省いています。わかんなくて良いです。


そもそも、なんで、こんな条文があるの?
(再婚禁止期間の制度の趣旨)

えらそうなババアは、「離婚して、すぐ結婚するのってどうよ。半年でも短いわ」っていうツッコミをするでしょうけど。


法律に詳しくない人でも、特に女性は、「なんでやねん」と突っ込みたくなる条文ですよね。

「法律で決めることないじゃん。人にはいろいろ事情があるのよ。」とか、

「なんで、男はよくて女はだめなのよ。不公平じゃないの」とつっこみたくなるのが、普通の感覚でしょう。


なんで、こんな条文があるかというと、


再婚してから産んだ子供の父親が、前の夫だか後の夫だかわかんなくなっちゃうでしょう?

っていう話。


妊娠期間は、10ヶ月ちょっとが普通だから、なんで6ヶ月なのか、よくわかんないですよね?


嫡出の推定



実は民法の別の条文とリンクしてるんです。

民法 第四編 親族、第三章 親子 第一節 実子 にあります。

(嫡出の推定)

第七百七十二条  妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。

 婚姻の成立の日から二百日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から三百日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。

まず、1項から。1項っていうのは、第七百七十二条って書いてある次の「妻が~」のところです。


奥さんが結婚している最中に妊娠したら、反対の証拠が無ければ、だんなさんの子供ということにします。


っていうことです。
 

「推定」っていうのは、法律用語です。

「反対の証拠が無ければ、(法律上)~ということにします。」

という意味なんですよね。

見出しにある「嫡出」っていうのも法律用語です。「夫の子」ってことです。

夫じゃない人の子を「非嫡出子」っていいます。
(不倫とは限りませんよ。内縁の夫とか婚約者とか恋人の子供もです。最近、「婚外子」ともいいますね。)


次は2項です。2項は、「2」のところです。

(昔は、この「2」も書いてなくて、最近の法律は「1」以外は書いてあります。全部書けば良いのに(●`ε´●)  )


婚姻届を役所に出した日から200日たった後、または、離婚して(死別も含む)から300日以内に生まれた子供は、反対の証拠が無ければ、結婚している最中に妊娠したこととします。


今度も「取消し」については省略します。


この条文だけだとおかしなことになるんです。


離婚した次の日に結婚できるとすると、、再婚してから201日目~300日目は、前の夫と再婚した夫と両方推定する、っていう、有り得ない結論になっちゃいますよね。

だから、ダブリの期間について、女性が結婚できないようにしましょう、ってしたんですね。


でも、ダブリを防ぐのが目的なら、

300-200=100、100日で良いじゃんってことです。


でも、733条は、再婚禁止期間を6ヶ月と定めています。大体、180日くらいですね。


180-100=80


80日も意味不明の余裕が有るわけです。
 
まあ、一応、妊娠半年なら、外から見て、妊娠してるってわかるようになる、っていう、もっともらしい理屈があったらしいですけど。


今回の最高裁の判決は、「100日を超えるのは、婚姻の自由の過剰な制限だ」っていうことなんですね。


弁護士ドットコムのページにわかりやすい図解が載っています。

https://www.bengo4.com/other/1146/1287/n_4067/



今回の判決が出た結果、どうなるのか


違憲判決が出たからと言って、自動的に法律が改正されるわけではありません。

ただ、行政は、立法と司法にしたがわなければならない立場ですから、戸籍を管轄している法務省(民事局)は、全国の自治体に100日経っていれば、婚姻届を受理してね、と通知するそうですね。戸籍事務は、市役所とかでやっていますから。


そして、法務省はさらに、100日に改正する法案を、国会に提出する方針にした、と言っています。法務省の官僚が頑張って作ったものを、内閣が閣議で決めて、法案を国会に提出する、っていうことになります。(民法772条を改正する法律です。ややこしい(^o^)   )


最高裁は、期間が長すぎるという理由で違憲にしましたが、

制度そのものが違憲で良いと思います。


そもそもさ、「722条の嫡出の推定、ってどうなのよ」って話です。
 

最高裁は「父親がだれかを早期に確定する必要があるから合憲」とかもっともらしいことを言っていますが。

誰の子どもかわかんなかったら、昔はともかく(条文は違いますが制度自体は明治から有った)、今だったら、DNA鑑定で調べれば良いでしょう?

とりあえず、揉め事が起きたときに、家庭裁判所でだれが父親かを決めれば良いでしょう?


真面目な大手マスコミとかは書いてない話ですけど、ぶっちゃけると、

不倫は論外ですが、今どき、結婚と妊娠時期をリンクさせるのって、違和感を感じる人は多いんじゃないでしょうか?意味無いですよね?
 

(結婚しなきゃ子作りしちゃいけないっていう真面目な方々を否定するつもりはありませんよ。結婚前に何が起こるかわかりませんから、男女の将来と子供の将来を考えれば、堅実で良いと思いますよ、もちろん。)


戸籍を管理する役所や、揉め事を持ち込まれる家庭裁判所が面倒くさいだけじゃん。

本人たちと周りが平和なら、それで良いじゃんか。


科学が進んだ今、似たような法律があった海外では、どんどん廃止しています。


立法政策だけの問題ではなくて「この再婚禁止期間も条文自体が憲法違反だ」っていう話で良いと思います。

以前から国連女子差別撤廃委員会などは、日本政府に対して「女性差別にあたる」として、再婚禁止期間の条文を廃止するよう勧告していましたし。

(女子差別撤廃委員会は女子差別撤廃条約の実施のために国連に設置されたものです。この条約を日本は批准しています。しかし、委員会への個人通報制度(国に差別された女子が委員会に通報できる制度)を定めた選択議定書は批准していません。)



ところで憲法の何条に違反ですか?


おそろしいことに、かなり詳しく書いてある大手の記事を読んでも、憲法の何を定めた何条に違反する、っていうことがちゃんと書いていない。なんなんだ、日本のマスコミは(●`ε´●)


法24条です。

第二十四条  婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。

   配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。

24条ですが、「婚姻の自由」「家族生活での両性の平等」を定めています。
そのために2項では、法律制定の基準が書かれています。


再婚禁止期間は、この「婚姻の自由」の制限なわけです。不当な制限だと憲法違反です。


「婚姻の自由」っていうのは何か、ですが、

婚姻=結婚っていうのは契約です。本人たちがOKなら、国が制限してはいけない。本人たちのOKが無いなら、結婚も有り得ない、っていうことです。

(この場合の国は行政だけでなく、立法も司法も当然に入ります。法律でも制限してはいけない、判決でも制限してはいけない、ってことです。)


(本人たちの合意だけで結婚できるっていうのは当たり前だと思うかも知れませんが、戦前の日本では、本人同士が結婚したくても、親がだめだと言って結婚できなかったりしました。事実としてだけでなく、違法なことではなかったのです。

海外では、今も、まだ小学生くらいの子供が、親の意思で、結婚させられるという国がたくさんあります。

子供はもちろん女の子です。)


再婚禁止期間っていうのは、余計な制限だ、許される制限ではない、ということです。

有っていいのは、届けが必要だ(制限とは言えないレベル)とか、年齢制限が有るとか、未成年は親の同意が必要とか、です。


今回、制度自体は合憲としている最高裁は、14条違反とは言いませんでした。

女性に対する不当な差別であると主張すると、14条が問題になります。

第十四条  すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

  華族その他の貴族の制度は、これを認めない。

   栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。

法の下の平等を定めた、14条1項に違反する、っていうことです。14条の中にも、「性別」っていう言葉がありますね。女性にだけ不利益な条文は、これに違反する可能性があるわけです(もちろん男性差別もだめ)。差別の条文に合理性が無いと憲法違反なのです。



夫婦別姓制度については別に書きました。


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